縫製工場の廃業の状況
栃木県や群馬県は
繊維工場や、縫製工場等が たくさんあった地域です。
生地や糸の布地製品の材料になるものを作ったり、
服やズボン、布団、カーテンなどの製品を作ったりしている工場や
その仕事に従事する人がたくさんいました。
染物工場の汚水で栃木県の川の色が
赤や黄色、紫などに変色していた時代もありました。
しかし、そんなたくさんあった縫製工場も
今は大変少なくなってしまいました。
私も繊維工場に勤めたこともあるし、
縫製関係の事業者の方々の
帳簿作成や財務諸表も作っていました。
しかし、洋服や布地を売る会社が
東南アジアの国に生産を依頼するようになった1980年後半から
栃木県や群馬県の縫製や織繊会社は減っていき、
バブル後に、一挙に縫製関係の会社はなくなった気がします。
今現在やっている
縫製会社の経営者や縫製関係の仕事に
たずさわる個人業は
多くが高齢の方になっています。
この人達が仕事を辞めたら、
この地域から縫製関係の仕事をする業者は
いなくなってしまうかもしれません。
洋服作りには 作業工程ごとに事業者がいる
服を作る仕事は、作業工程ごとに 専門の業者がいます。
大手の縫製工場では、
その多くが自社だけで賄っているようですが
小さな縫製工場では、
各種の外注さんに依頼して、グループで布製品を作っているようです。
その為、その作業をする個人業者が誰か欠けてしまうと、
その布製品が作れなくなってしまうかもしれません。
私は服の製造工程はわからないのですが、
縫製業の人に聞いたところ
型紙をつくる人、布地を作る人、糸を作る人、
布地を切る人、布地を縫う人
ボタンをつけたり、ボタンの穴を作る人などがいて
服やズボンができるようです。
専門の業種の人達がいて、
大勢の人達で製品ができるようです。
大きな工場なら、
ある程度の工程が
自分の工場だけでもできるようですが、
それでも何かは
他の工程をやってくれる外注さんがいないと
服は作れないようです。
一社だけでは服は作れません。
誰か他の事業者がいて
みんなで仕事を分けあって服ができます。
無知な私は
布地と糸とミシンが一台あれば
洋服は作れてしまうと思っていましたが、
そんなことはありません。
ミシン一つとっても ボタン付け用のミシンや、
ボタンの穴を作るミシンもあります。
そして縫う生地の厚さによっても
ミシンの部品や
糸が違う場合もあるのです。
縫製業も高齢化で、連鎖廃業もありうる!
縫製関連の事業者達も
高齢者ばかりになっています。
群馬県の桐生市でも栃木県の佐野市でも、
織物や縫製関係の自営業をしている人は
かなり高齢の多々方です。
この人達の誰かが辞めてしまうと、
特定の布地ができなくなったり、
ある種の服やズボンも
できなくなってしまう場合があります。
それを支えてくれる外注さんや
関連の業者がいなければ
製造ができなくなってしまうかもしれないのです。
こちらの方の縫製業会もピンチのようです。
それに関連する仕事をやっている人達も
つらなって
仕事ができなくなってしまうこともあります。
石焼き芋を作るには、
サツマイモを売ってくれる店があり、
作ってくれる農業があり、
サツマの苗を作って売ってくれる苗屋、
肥料を売る店、肥料を製造する人が必要です。
どれか1つがなくなっただけでも
石焼き芋を作ることが難しくなってしまいます。
結局1つの品物を作るのにも、
多くの業者の力が必要で、
多くの業者同士は、つながっているようです。
連鎖廃業は避けたい!
群馬県のある商工業団体の経営相談に言った時、
一日、個人事業者の方と
個別に事業の話を聞く機会がありました。
その相談を受けた人の内、5、6人が、
服や着物の製造関係の仕事をしている人達でした。
一人一人個別に事業の話を聞きました。
みなさん70代後半の方で、
夫婦で
服や着物の製造関係の仕事をしていました。
みんなこんな感じで同じことを話すのです。
「私らも、もう歳だし、仕事も減ったので廃業同然です。
昔は忙しくて寝ずに働いたこともあったんですよ。
今じゃ、もうこんな少ししか売上がありません」
「働けるうちは、働かないと食べていけないんですよ。」
「これっぽちの国民年金しかないですからね」
「でも機械が壊れちゃって、どうしようもないんです」
「医者にもかかっているんで、
仕事があってもできない時もあるし、
体が壊れちゃったり、体が言うことを聞かないんで、
弱ったもんですよ」
「辞めてもいいんだけど、辞めちゃうと
お客さんが仕事できなくなっちゃうって言うから、
どうしようかと思って」
「でも、辞めたら医者にもかかれないし…
…どうしたもんでしょうか?」
他の業者が辞めたら、自分の仕事ができなくなる
「うちが頼んでいる外注さんも、いい歳でね、
もう辞めたいって言ってるんだけど、
その人が辞めちゃったら、
うちも仕事ができなくなっちゃいますからね。
あの人に辞められたら、うちも困りますよ」
「そして、うちが辞めたら、うちに仕事をくれている工場も
仕事ができなくなっちゃうから
辞めないでくれっていうんです。
参っちゃいますよ。みんな年寄りばっかりで」
「今度、誰か一人でも辞めたら、みんな仕事が
できなくなっちゃうんじゃないかなあ」
こんなように、服や着物の製造関係の業者の方数人が、
同じようなことを言うんです。
栃木、群馬の服や着物の製造関係の仕事もこんな状態です。